分享

36話 青い骨

last update publish date: 2026-07-09 12:54:30

病室を出た俺に日下部が近付く。

「奪還したお子様は速やかにこちらへ搬送しております」

そう言われて俺は歩き、隣の部屋に入る。

「話せ」

促すと部屋に入って来た日下部が扉を閉めて、言う。

「お子様は美織様が入所されていた施設の近く、ここから少し離れた場所にて、保育器に入れられておりました。現状、どこにも怪我はなく、健康の問題は無いようです」

俺はソファーに座り、聞く。

「制圧は?」

日下部が微笑む。

「完璧に」

そう言われて俺も微笑む。

「良くやった。確実にここへ連れて来い」

◇◇◇

「奥様、問題が」

私が部屋でくつろいでいた時、私の部下で愛人の木崎潤が部屋に駆け込んで来てそう言う。

「何があったの?」

そう聞くと木崎が言う。

「例のものを奪われました」

そう言われて私は立ち上がる。

「奪われた!?」

義理の娘、美緒を上手く葬り、高橋家との縁を瑛理香に繋がせ、私の一ノ瀬での地位も盤石なものになり、あとは手に入れた例のものを適切な時に、適当に養子に入れ、宿敵・九条を倒す為の駒にしようと思っていたのに。

「一体、誰の……」

そこまで言って、ハッとする。

「もしかして、奪還しに来たっていうの
在 APP 繼續免費閱讀本書
掃碼下載 APP
已鎖定章節

最新章節

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   37話 DNA

    すぐに俺の体調不良のニュースが出回った。俺はそれを見ながら笑う。「やるじゃないか、随分と早いな」そう呟く。今すぐにでも行動を起こし、美織の産んだ子供をこの腕に抱きたかったが。隣の部屋で泣きながら眠った美織を思うと、動けそうにもなかった。今、美織に自分が産んだ子を見せたら、きっと美織は立ち止まってしまうだろう。いや、その方が美織にとっては幸せなのかもしれない。全ての事を放棄させ、自身の産んだ子供と俺だけの世界の中で、美織は美しく微笑んでいれば良いとも思うが。きっと美織はそれを望まないだろう。自身を傷付け、子供を強制的に奪われ、施設の爆破という事故を装い、社会的には一度、殺されているのだから。子供を腕に抱かせてやりたい気持ちと、俺の元へ単身、乗り込んで来たあの強い光を宿した瞳を見た時に感じた孤高の野心が俺の中をせめぎ合う。美織は俺を責めるだろうか。子供を既に奪還し、無事に保護していると知ったら。いつかタイミングを見て話さなければいけないが、今じゃない気がしている。「征哉様」日下部が入って来る。「ご到着されました」そう言われて俺は立ち上がる。部屋に入って来た男が大事そうに抱えている籠の中。覗くとスヤスヤと眠っている赤ん坊。触ってしまっても大丈夫かどうか……だが俺は手を伸ばした。泣き出しても隣の部屋に声が漏れ出さないよう、部屋の扉を閉める。生まれたばかりの赤ん坊。タオルにくるまれている赤ん坊を抱く。ふぇっ、ふぇっ赤ん坊が泣き出しそうになって俺は小さな声で言う。「大丈夫だ、泣くな」赤ん坊はそのまま泣かずに俺の腕の中で眠り始める。俺は微笑み、日下部に言う。「この赤ん坊の為に特別室を作り、完全隔離の上に完璧に保護しろ」そう言うと日下部が小さな声で言う。「かしこまりました」俺は名残惜しく感じながらも赤ん坊を籠に戻す。男が一礼して籠を持ち、赤ん坊を運んで行く。腕に残る奇妙な重み。命の重みだ。愛おしく、そして儚い。俺は開いた手の平を握り、深呼吸を一つする。「征哉様」日下部が言う。「何だ?」聞くと日下部が言う。「お子様がいらっしゃった施設の調査結果をアップしております」そう言われて俺はソファーへと戻り、タブレットを見る。「……毒の成分を検出?」そう呟く。「はい、微弱ですが二種類の毒を検知致しました」二種類の毒……。毒と聞

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   36話 青い骨

    病室を出た俺に日下部が近付く。「奪還したお子様は速やかにこちらへ搬送しております」そう言われて俺は歩き、隣の部屋に入る。「話せ」促すと部屋に入って来た日下部が扉を閉めて、言う。「お子様は美織様が入所されていた施設の近く、ここから少し離れた場所にて、保育器に入れられておりました。現状、どこにも怪我はなく、健康の問題は無いようです」俺はソファーに座り、聞く。「制圧は?」日下部が微笑む。「完璧に」そう言われて俺も微笑む。「良くやった。確実にここへ連れて来い」◇◇◇「奥様、問題が」私が部屋でくつろいでいた時、私の部下で愛人の木崎潤が部屋に駆け込んで来てそう言う。「何があったの?」そう聞くと木崎が言う。「例のものを奪われました」そう言われて私は立ち上がる。「奪われた!?」義理の娘、美緒を上手く葬り、高橋家との縁を瑛理香に繋がせ、私の一ノ瀬での地位も盤石なものになり、あとは手に入れた例のものを適切な時に、適当に養子に入れ、宿敵・九条を倒す為の駒にしようと思っていたのに。「一体、誰の……」そこまで言って、ハッとする。「もしかして、奪還しに来たっていうのは……」そう呟くと、木崎が言う。「おそらく、九条の手の者です」そう言われて私は聞く。「施設は?」そう聞くと木崎が眉間に皺を寄せて言う。「制圧されたようです」部屋の中をウロウロと歩き回る。あの施設が九条の手に落ちたのは良くないわ……私の今までの計画に必要なものを揃える為に使って来た施設……。「施設の中は?」そう聞くと木崎が言う。「報告を入れて来た人物によると、破壊工作は出来たとの事」それがどの程度の“破壊”なのか。全て焼き落ちていれば良いけれど。「誰かに様子を見に行かせなさい」そう言うと木崎が頷く。「かしこまりました」木崎がそう言って部屋を出て行く。九条征哉……瑛理香が利用しようと思い付いたのは傑作だったし、それで義理の娘の美緒を陥れ、絶望の中で苦しんで焼け死んだのには溜飲が下がった。あの焼死体は口を開けたまま、さも苦しんで死んだという事が分かるような死体だったからだ。美緒の母親の香織ですら、私は跡形もなく消し去った。私は部屋の壁に掛かっている大きな絵画を横にずらし、そこにある小さな扉を開ける。その奥にある小さな小さな小部屋。三畳ほどの小さな空間。ここ

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   35話 情報操作

    私の記憶は改竄されていた……自分でももしかしたら、という疑念はあった。だからこそ、日付を確認出来るものが欲しくて、書くものか、スマホが欲しかったのだ。そして自分で確認を取った。スマホのカレンダーを見ながら、私は自分で覚えている日付と、覚えている事をすり合わせていた。でもどうしても合わない……というか、思い出せない事が多かった。その最たるものが目の前の男、九条征哉との“あの夜”の日付だった。あの夜の肌の感覚や、高くなって行く体温や息遣いは思い出せるのに、どうしてもそれがいつだったのかが思い出せなかった。九条征哉から告げられたあの夜……半年も前だったのだ。じゃあ、私のお腹の中の子は既に六カ月だった、という事だ。そんなにも長い月日、私のお腹の中に宿って成長していた子が……。私は九条征哉に会って、初めて声を出して泣いた。――慟哭――吐きそうな程の私の慟哭を九条征哉は真っ直ぐに受け止めた。そしてハッキリと言ったのだ。俺が何とかする、と。本当だろうか、そんな事が可能なんだろうか。それでも九条征哉なら出来る、そんな気がした。◇◇◇泣き続ける美織の背中を撫でながら、俺はスマホの画面を見る。そこに記されていたのは――“奪還成功”の文字だった。俺はそれを見て微笑む。そして少しの間、迷う。この事を美織に伝えるべきだろうか……いや、まだだ。俺自身が美織の子の無事を確認してからだ。そして自分とのDNAの照合もしなければならない。美織の背中を撫でながら俺は指示を打つ。~全身の検査と、俺とのDNAの照合を~スマホをしまい、美織に言う。「大丈夫だ、俺が居る」美織は俺の腕の中で泣き続けている。ショックだっただろう。自分の記憶が改竄されているなんて、想像を絶している。しかもあの一ノ瀬家だ。人を人とも思わず、ネペンテスなどという人体に害があるようなものを平気で食事に混ぜ、更には施設の爆破と共に人を葬り去ろうとした、外道どもだ。俺は美織を抱き締めながら、半年前のあの夜の事を思い出す。美しいドレスを着た美織に対して、下品な服装の美織の義理の妹。更に美織と恋人同士であった筈の男は下衆い顔をして、そんな下品な女と、あろう事か、美織の目の前で腕を組み、さも自分が義理の妹の恋人のように振る舞っていた。美織の話によれば、あの夜、俺は薬を盛られ、美織と部屋に入

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   34話 解毒

    お嬢様が生きていらっしゃった。姿を消してしまった時には絶望したが、お嬢様は自ら宿敵の腕の中へ飛び込まれていたのだ。お嬢様が立ち上がり、自ら決断し、向かわれたのなら、私はそれに従うまでだ。九条征哉様にお会いして分かったのは、あのお方はまさしく“覇王”であるという事だ。噂に違わぬ美貌を持ち、圧倒的な存在感と全てを手の平の上でコントロールしている絶対的王者としての振る舞い。更にお嬢様が九条様の元へ行ってからそれ程、時間も経っていないというのに、持っている情報量が計り知れない。既にお嬢様のお体の事も、そしてあの夜に堕胎されていると思っていた命も、九条様は突き止めている。九条様はお嬢様を愛していらっしゃる……それもかなり深く、だ。でなければ、お嬢様が九条様の元へ行かれた時に、社会的には死んだ事になっているような面倒な人間を招き入れる訳が無い。あの瞳を見れば分かる……お嬢様の事を語る、あの瞳を見れば。◇◇◇俺はベッドで横になって、スマホを眺めている美織を視界の端に入れながら、部屋に持ち込んだPCで仕事をする。彼女は一体、何を考えているんだろうかと思う。ふふっと美織が笑う。視線を移すと、笑っていた筈の美織の瞳から涙が流れている。俺は思わず立ち上がり、美織にツカツカと歩む。「どうした?」そう聞くと美織はスマホを下ろし、俺を見る。「ねぇ、教えて、征哉」俺はベッドに腰掛け、そう聞く美織に手を伸ばし、美織の頬に触れる。「何が聞きたい?」そう聞くと美織が言う。「私とあなたが結ばれたあの夜はいつだったの?」そう聞かれて俺は美織の頭の中の時系列が徐々に元に戻っているのだと悟る。「……本当に知りたいか?」そう聞くと美織の瞳からまた涙が流れる。「知りたいわ……征哉、教えて」そう言われて俺は美織の美しい涙を掬いながら言う。「半年前だ」美織はそれを聞いて、少し笑う。「……半年」その途端、堰を切ったように美織が泣き出した。俺はそんな美織を抱き上げ、抱き締める。体中を震わせて、泣き出した美織を抱き締め、言う。「大丈夫だ、俺が居る」美織は泣きながら言う。「私の、子……あの子は……? あの子……お腹の中に居た……私の……子……」泣きじゃくる美織に俺はただただ美織を抱き締めて言う。「大丈夫だ、大丈夫……俺が居る、俺が何とかする……」美織は泣きなが

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   33話 ハンカチ

    及川の理路整然とした説明と推察を聞き、俺はこの男を執事として雇い入れている一ノ瀬家は本当に幸運だなと思った。そして一方でこんなに優秀な執事が居ながらにして、その優秀な人材を扱い切れていない当主の浅はかさが垣間見える。「お前はそれを探れるか?」そう聞くと及川は頷く。「香織様の為にも、そして美緒お嬢様の為にも、必ず」俺はこんなに優秀な駒を手に入れる事が出来て、満足だった。「良いだろう、及川、お前は内側から一ノ瀬家を探ってくれ。俺の方でも人員を派遣する。上手く使ってくれ」そう言って日下部を見る。日下部が小さく会釈して、及川に書類を渡す。「それはこれから俺が配置する人員の紹介状だ。郵便物に混ぜて一ノ瀬のご当主に渡してくれ。一ノ瀬が断れない名前での紹介状だ」部屋の扉が開き、一組の男女が入って来る。「俺の派遣する使用人だ」俺がそう言うと一組の男女が深々と頭を下げる。「一人はメイドの真中芙美、もう一人は及川、君の下に付く和久井直己だ」俺がそう言うと及川が微笑む。「助かります」俺はあの件を伝えた方が良いだろうと思い、及川に言う。「美緒は社会的には一度、死んでいる。だから新しい身分を与えた。美緒の新しい名は四季凪美織だ」及川が頷く。「四季凪美織お嬢様ですね」及川の後ろに居る二人にも視線を送る。「以後、彼女は美織だ、刻んでおいてくれ」それは今後、美緒を美織と呼ぶ事、そして呼び間違いは許されない事を意味する。日下部が及川の背後の二人に目配せすると二人がまた頭を下げ出て行く。部屋に俺と及川だけになったタイミングで俺は切り出す。「美織の葬儀があったあの夜、美織が俺の所へ訪ねて来た」及川がほんの少し顔を歪める。「そうですか」あの夜の美織を思い出すと胸が痛む。「美織の身に起こった事はほぼ、俺の方で把握している」俺がそう言うだけで及川が俺の言い方を察したようで、少し悲し気に微笑む。ここは病院だから、というのもあるだろう。「美織にはこちらから一応、契約という形で美織の身柄を保証する事を約束した」俺がそう言うと及川が微笑む。「俺からも少し聞きたいんだが」俺がそう言うと及川が頷く。「何なりと」俺はタブレットで読んだ、及川と七倉家の事について、言及する。「七倉家」俺がそう言うと及川の表情が少し硬くなる。それを見て思う。(やはり、か……

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   32話 密会

    「お初にお目にかかります、九条征哉様」そう言って及川が両側を俺の部下たちに捕まえられたまま頭を下げる。「離してやれ」俺がそう言うと部下たちが及川の腕を離す。「それで? 一ノ瀬家の執事自らがここへ来た理由は?」そう聞くと及川は言う。「私は一ノ瀬家の当主。一ノ瀬恭介様に命じられ、ここへ参りました。本日、一ノ瀬瑛理香がこちらの病院で九条征哉様をお見掛けし、九条征哉様が特別病棟に入院しているのか否かを確かめて来いと命じられたのです」淀みなくそう言う及川に嘘は無さそうだが。「入院している、と言えば、まぁ、そんなようなものだが」俺はそう言って両手を広げて笑う。「残念だが俺はピンピンしている」そう言いながら俺はソファーに座る。「それで、及川。君はどう報告する?」そう聞くと及川は少し微笑み、言う。「ご指示を」そう言う及川に俺は微笑む。賢明な判断だ。この俺に対し反意を見せず、俺に言われた通り報告すると、そう示している。「座ってくれ」俺がそう言うと及川が微笑んで言う。「いいえ、私は一介の執事でございます、このままお話をお聞かせ下さい」そう言われて俺は思う。完璧な執事だな、と。こんなにも優秀な執事が居ながら、一ノ瀬の家は何をしているんだか。「及川、君は俺に聞きたい事があるのでは?」そう聞くと及川が頷く。「はい、ございます」そう言われて俺は先を促す。「許可する、言ってみろ」そう言うと及川が聞く。「こちらに美緒お嬢様はいらっしゃいますか?」ストレートに隠す事無く、そう聞いて来る及川に俺は好感を持つ。俺は笑って言う。「美緒? 一ノ瀬家の長女の一ノ瀬美緒の事か?」少しとぼけてそう聞くと及川が頷く。「はい、そうでございます」俺はそう言う及川に言う。「一ノ瀬美緒は先日、葬儀があったばかりだろう? その一ノ瀬美緒がここに? しかも一ノ瀬家と対立している俺と一緒に居ると思う、その理由は?」及川は真っ直ぐに俺を見て言う。「九条様なら美緒お嬢様を救えるからです。この世で美緒お嬢様を救えるのは、もはや九条様以外に居ないでしょう」そう言われて俺は笑う。(まぁ、俺の方でも調べはついているからな)そう思いながら言う。「お前が一ノ瀬美緒を逃がしたな?」そう聞くと及川が頷く。「はい、仰る通りでございます」俺は腕を組み、足を組んで聞く。

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   4話 絶叫

    及川は私を見つめ、頷く。「お嬢様、生き延びてください。それもあなたのお母様の最後の願いなのですから」そう言われて私はポロポロ落ちる涙を拭い、聞く。「私は、何をすれば?」及川が簡潔に言う。「時間がありません。今すぐにお嬢様のお召しになっている服とネックレスを外して頂けますか」及川はそう言って自分の足元にある遺体袋を見る。「この遺体にお嬢様の服を着せ、ネックレスをつけさせます。そうすればお嬢様は死んだ事になり、万が一にも生きている事が知られたとしても、その時にはお嬢様はここから遠い地へ離れている事でしょう」及川は私に紙袋を渡す。「着替えは中に」その紙袋を受け取る。漆黒のワン

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   3話 一筋の光

    目が覚める……。チカチカと視界が霞む。寝かされている場所は……色味の無い部屋……? (ここは……どこ……?)(昨日のあれは……夢だった……?)微かな希望だった。昨日の夜の事は私を襲った悪夢、そう思いたかった。けれど。

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   2話 堕胎手術

    お父様のそんな声を転がりながら聞く。お父様がそう怒鳴りながら私に近付く。しゃがみ込んだお父様は私に小さな声で囁く。「美緒」そう言われて私は少し驚く。その声に優しさが滲んでいたから。「よく聞け」そう言う声は低く、雨音にかき消されそうな程で、恐らくは私にしか聞こえていない、そんな声だ。「お前を療養所に送る。そこで大人しくしていろ。騒がず、逃げる事も考えずに、誰とも連絡を取るな」私は赦しを乞おうと言葉を口にしようとして、それでもそれが言い訳にしか聞こえないだろう事を思うと言葉が出ない。お父様は私の腕

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   1話 嵐の夜

    「一族の面汚しだ!」土砂降りの雨の中、私は泥の上へ叩き出される。雷鳴が鳴り響き、雷の光がお父様の背後のお屋敷を照らし出す。お父様は私を見下ろしながら私に何かを叩き付ける。「これは一体、どういう事だ!」私の頬に叩き付けられたもの、それは数枚の写真。私の頬に叩き付けられた写真が土砂降りの雨の中に散らばる。その写真には私が男に肩を抱かれホテルの部屋に入って行くところが写っている。しかも写真はそれだけにとどまらず、私とその男が半裸でベッドに居るところまで写っている。(どうしてこんな写真をお父様が持っているの&

更多章節
探索並免費閱讀 優質小說
GoodNovel APP 免費暢讀海量優秀小說,下載喜歡的書籍,隨時隨地閱讀。
在 APP 免費閱讀書籍
掃碼在 APP 閱讀
DMCA.com Protection Status